今回は”どうしても触れたくない”について書いていきます。
どうしても触れたくないは映画化もされていますが、今回は原作であるヨネダコウ先生の漫画本の感想です。
この作品は僕が、本を読んで、初めて泣いた作品です。
前回に続き、個人的にとても思い入れのある作品のひとつです。
絵柄に惹かれて何気なく購入した漫画のひとつだったのですが、読み進めるにつれて今までに経験したことのないほど物語の中に引き込まれました。
設定も含めてリアルで、突拍子もないファンタジーな要素が全くないことも感動した一つの理由です。
ヨネダコウ先生、初めてのBLコミックでこれだけの内容を描けるのはとてもすごい。(小並感)
主人公たちは外川と嶋。嶋が外川のいる会社に初めて出社したところから物語が始まります。
たばこや酒などの匂いを漂わせた二日酔いの外川が、嶋のいるエレベーターに乗ってきたことが2人の出会いです。図々しさの中にも優しい気遣いを 見せる外川に、だんだんと嶋は惹かれていきますが、傷ついた過去の経験から嶋は踏み出せずにいます。外川も忘れられない過去がありながらも、嶋を想い、傷つくことを恐れずに嶋に好意を示しますが嶋は素直になれない…
というのが大まかなあらすじです。
ストーリー展開も、もちろん素晴らしいのですが、2人それぞれの心情の描写が細かく、セリフや表情で表現されていて素直になれない不器用な2人に引き込まれていきます。
ゲイであることに後ろめたさを感じている嶋。彼の気持ちを僕は全て理解することはできませんが、自分が辛い状況になっても人を想う気持ちを持ち続ける彼を尊敬します。自分を守るためであっても僕には到底、真似できません。つらい過去に縛られ続ける嶋を温かい愛情で向き合っていく外川、大人過ぎる。僕もこんな風に誰かを包み込めるように大人になりたいものです。
この作品には数々の名言が出てきます。僕が特に好きなセリフは 、
「愛情だって 同情だってなんだって情は情だろ 俺はお前に情が湧きまくりだよ」
です。
このセリフは世界中の攻めたちを集めたとしても外川にしか言えないセリフだと思います。
初めて読んだ時、ここでボロ泣きしてしまいました。色々な作品を観て来ましたが、何年も前の作品にも関わらず、個人的に好きなBL漫画上位であることは変わりません。
2人がまっすぐにお互いだけを想い合う描写は、男同士だからこそ出せる物語の雰囲気だなと思います。
どうしても触れたくないに出会ったタイミングは高校の頃だったのですが、その時すでにどっぷりBL沼にハマっていたので色々なBLを観ていましたが。”この作品に出会うためにBLを好きになったのかもしれない”と思ったくらいです。
2人でいる時、そして一緒にいない時、それぞれお互いを想う2人を見ているとただただ幸せになってほしい以外の感情が後半にかけて湧かなくなります。湧きまくりです。
この作品の好きなところの一つとして無駄にハラハラと読者に不安を煽るような描写がありません。繊細に2人の心情が描かれていて、2人がどのような決断をしても僕は応援するよ‼という気持ちで読み進めていけました。僕的に、これは読んでいく中で大事な要素の一つです。登場人物の心情が細かく描かれている作品では特に、その部分に注視して読んでいきたいので(笑)
ヨネダコウ先生の作品は”囀る鳥は羽ばたかない”など大人の恋愛を描いた作品が印象的ですが、具体的な描写はあれど、重厚感のあるストーリーがどの作品も素敵です。
自分の中にある色々な過去を背負いながらもまっすぐに目の前にいる大切な人を愛そうとする2人が愛おしくなる。切ないストーリーの中にじんわりと温かくなるそんな作品でした。
どうしても触れたくない 著者 ヨネダコウ
出版社 大洋図書 レーベル ミリオンコミックス CRAFT Series
それでは、また!…✈
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